着せかえ日記

ウレタン作製過程のご紹介②

みなさんこんにちは。イスの着せかえ屋さんSOHOウレタン担当です。

 

夏の厳しい暑さもようやく少しづつ落ち着き始め、朝晩は過ごしやすい涼しさで秋の訪れを感じます。

皆様いかがお過ごしでしょうか。寒暖差などで体調が崩れてしまう時期になりましたのでお身体に気を付けてお過ごしください。

 

 

今回はこちらの長年使われていたソファのウレタン交換をご紹介します。しっかりとした作りでとても素敵な椅子だと思います。状態も経年劣化こそしていますがきっと長い間大切に使われてきたのだと思いました。

 

ちなみに内部構造は座面、モタレ共に「あおりバネ」というバネで作られていました。

あおりバネの座り心地はしっかりと体を支えてくれつつ、体重に合わせてバネが伸縮して包んでくれるような座り心地なことが多いです。

デメリットとしてはバネが外れたりして座面に突き破ってしまったり、何年も使うことで座る際にバネ同士がギイギイと音を立てるようになってしまうことなどがあります。

 

こちらのソファの縫製品を剥がし、内部がどうなっているのかより詳しく見ていきます。

ベース部分のみになった姿がこちら。シートとモタレ共に沢山の大きなバネによって構成されていることがわかります。(表面に凸凹に出てきている丸いものがバネです。)

SOHOでは張替えして頂く際にこの類のバネをそのまま再利用するか、座り心地のご希望やバネの劣化状況によってバネ部をウレタンに交換しています。

今回のこちらのソファはバネを支えているベース部分の劣化が激しいと判断し、全てウレタンに交換をさせていただきました。

 

こちらのソファ、クッション部分がウレタンではなくヤシの実などからできているパームロックで作られていました。藁にも似ている質感で、こちらのソファの丸みを帯びた優しい形状もこの素材で形作られているものでした。歴史が長い椅子はこちらの素材が使われていることが多く見られます。

 

さて、ベース部分を交換ということでこちらのソファをフレームのみのお姿にしていきます。

ここまで椅子の木枠だけの姿を見るのはあまり多くないので構造など個人的にとても学ぶことが多かったです。とてもしっかりとした木材で作られており、ベースを見るだけでも良い椅子だということが分かります。

 

バネがあった部分にゴム製のベルトとメッシュでベースを補強。

こうすることで座った際にしっかりと体を支えてくれるベースを作ることができます。このベースを元にここからウレタンでソファに肉付けしていきます。

まずはシートウレタンを作成しました。

元のソファのシートのふくらみや縫製品との兼ね合いを考えながら造形していくのに苦戦しました。同時に座り心地も考慮し、とても厚いウレタンになったので構成にも悩みました。他の工程の職人の方と何度も打ち合わせを行い、細部を突き詰めていきます。

続いて肘、モタレのウレタンも作成していきます。肘とモタレは特に丸みに特徴があり、形状や厚みを出来るだけ元のソファに近づけられるよう作成しました。

 

そうして完成したものがこちらです。

 

フレームだけの状態と比べるとこんな感じになりました。

 

張り工程や縫製の作業もあり、完成したお姿がこちらです。

如何でしょうか。元のシックなイメージからモダンなイメージにお着替えさせていただきました。とても素敵な仕上がりだと思います。

見た目ももちろん、椅子としての機能の面もしっかりと作り直しさせていただいたのでこれからもこちらの素敵な椅子と生活を共に過ごしていただけたらと思います。

 

 

この度はSOHOをご利用いただきありがとうございました。皆さんの生活に彩りを加えられるお力になれればと思います。

皆様のご利用、ご相談お待ちしております

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