着せかえ日記

背モタレの張り

皆さん、こんにちは。
張り工程の担当の小田です。

椅子にも色々な種類がありますが、よく持ち込まれる椅子にモタレの表裏に張地が見える椅子があります。

こういった椅子は2枚の張地の間にウレタンを挟んで付けてあるというような簡単なものではありません。
今回はこのような椅子がどのように張られているかを解説したいと思います。

今回の椅子の場合は張地は全て表側から張ります。
奥から裏張地→不織布→P.P.テープ→ウレタン→表張地を張っていくところを順に説明していきます。

まず張地を打つのですが、張地だけだと背中の荷重に耐えられないので不織布も張ります。

フレームにタッカー針を打つのですが、同じ位置に張地と不織布の2枚張ることになるのであらかじめ2枚を重ねて接着しておき、1枚にしてしまいます。

接着して重ねた張地をフレームに張ります。
無地ならば位置は大体でいいのですが絵柄や模様がある場合は裏から綺麗に見えるように位置を決めて張っていきます。また模様が歪んでしまわないように張っていきます。綺麗に張ると軽く叩けばパンパンに張った太鼓の皮膜のような音がするので、複数台張る時は音で張り具合を確認します。

 

余った部分をカットします。

不織布でほとんど大丈夫なのですが、さらに荷重に耐えられるようにP.P.テープを張ります。

次にウレタンに接着剤を吹いて付けます。

 

そしてようやく表の張地を張ります。

 

基本的に上下方向は強く引っ張って固定します。

 

次に四隅を固定します。

最後に残りの左右部分を張るのですがここはあまり引っ張ると引きムラを起こしてしまうので軽く打っていきます。

タッカー針の間隔や角度を注意しながら連続して打っていきます。

余った部分を切り取ります。

最後にタッカー針が見えなくするために溝にボンドを入れて「玉縁」と呼ばれる芯入りの紐を埋めていきます。

 

モタレの完成です。

説明するとこんな感じですが、実はムラを作らずに均等に張ることがめちゃくちゃ難しいです。
生地の素材や、伸び率、伸び方向、フレームの形、湾曲の度合いなど様々な要素を加味しながら張り方を考えるので、毎日修行の日々です。

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