着せかえ日記

本革の張替えをもっと身近に ― ハギレから生まれた「アップレザー」

こんにちは。イスの着せかえ屋さんです。
今回は
私たちが扱う本革はひとつとして同じものが存在しない天然素材です。

それは魅力である一方で、工業製品のように“均一に使い切る”ことが難しい素材でもあります。

実は、椅子の張替えに使われる革の中には、品質には問題がないにも関わらずさまざまな理由で使い切れずに残ってしまう部分が存在します。

 

(※本革の特長については

本物の革を選ぶこと」の記事でも詳しくご紹介しています

 

本革は、天然素材であるがゆえに

・大きさや形が一定ではない
・表面にナチュラルマーク(傷やシワ)がある
・部位ごとに性質が異なる

といった特徴があります。
そのため、

・キズを避けながら型取りをする必要がある
・無駄が出やすく、使用量が増える
・加工や縫製に手間がかかる

といった理由から、布地や合皮に比べてコストがかかります。

素材としての希少さ、合成皮革と違って状態が画一ではない点など
イスの着せかえ屋さん目線での「本革」についてお話しようと思います。

天然皮革(牛)の基本知識🐄

椅子張り用の革は通常、牛一頭分の革を背中で半分に割った
「半裁(はんさい)」という形で流通します。

大きさはおよそ2メートル前後×1メートル前後。

革の面積の単位はds(デシ)と言い、10cm×10cm⁼1dsとなります。
POINT

Point💡半裁一枚でだいたい200ds前後の面積となるので
1ds⁼100円の革の場合、半裁革一枚で約20000円程です。

 

椅子張地として必要な革の大きさは?

 

一般的なダイニングチェアの座面サイズは約40〜50cm角ほど。

しかし実際に張り込むためには裏側に巻き込む余白が必要になるため、
張地として約60〜65cm角の革を用意する必要があります。

さらに革は合皮や布のような均一素材ではなく、
牛が生きていたときの痕跡なども表面に現れます。

こうした特徴は「ナチュラルマーク」と呼ばれ、
天然皮革ならではの個性でもあります。


💡主なナチュラルマーク一例・生きジワ(首などによるシワ)
・血管跡
・フンやけ(排泄物によるかぶれ)
・虫刺され痕
・細かな傷
・焼き印(管理のためにつけられた印)

■半裁の革におけるナチュラルマークの分布イメージ

さらに、革の性質も部位ごとに異なります。

・背中側は繊維が詰まっており丈夫で傷も少ない
・お腹側は柔らかくて伸びやすくシワも多い
・お尻側は固くなっていたりフンやけがある
・部位によってシボの大きさも変わる
・背中からお尻にかけて焼き印や大きなキズがある場合もある

など、一枚の中でも状態がバラバラです。

そのため、良い部分だけを選んで裁断すると

どうしても使いきれない部分(ハギレ)が多く出てしまいます。

 

実際の裁断時の様子

裁断時は、最初に必ず全体の傷、穴、ナチュラルマークや部位ごとの質感を確認し、チャコペンでマーキングを行います。
サイズや形、傷の位置、質感、一つとして同じものはありません。

一見大きな革でも、座面用として安定した品質を確保しながら60〜65cm角を取ろうとすると
200dsの半裁一枚からでも、取れるのは座面2枚〜3枚分程度になります。

■上記の傷分布で座面にできるところを取った場合のイメージ
部位の差や、ナチュラルマークが全体的に散布しているため
パーツが大きくなればなるほど、そこを避けることが難しくなり、
結果としてロスが大量に発生します。

「もったいない」で終わらせないために

私たちは、この“使われずに残る革”に対して
ずっと違和感を持っていました。

・品質は問題ない
・むしろ味わいがある
・一点物としての魅力がある

それなのに、
“規格に合わない”という理由だけで
価値が発揮されないまま終わってしまう。

そこで生まれたのが「アップレザー」

このように、通常の張替えでは
ナチュラルマークや部位差を避けて裁断するため、
多くの部分が使用できず残ってしまいます。

そこで、SOHOではこのような「椅子製作の過程でどうしても生まれてしまう革のハギレ」に着目しました。

一枚の革としてではなく、
パーツとして再構成することで、価値を引き出せないか。

形や大きさの異なる革を組み合わせ、
あえてパッチワークとして仕立てる。

そうすることで、
従来は使えなかった部分も活かしながら、
唯一無二のデザインとして成立させることができます。

これは単なる再利用ではなく、
価値の再編集だと考えています。

 

アップレザーは
そうした革からパーツを切り出し、
デザイン性を加えて縫製することで

座面用張地として再生した
アップサイクル商品です。

 

お問い合わせ先

 

イスの着せかえ屋さん SOHO
電話番号:0566-82-1837(営業時間10:00~17:00)

住所:〒472-0026 愛知県知立市上重原町腰前10

メールアドレス:hp@kisekaeya.com

 

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